導入―『するべきか、あきらめるか』で揺れたあの頃
「双子って、受験したほうがいいの?」
双子が年中に上がったころ、周りから聞かれるようになりました。上の子は小学校受験をしたので、周囲の人も当然双子もするのだろうと思っていたようです。子供一人でも大変だった小学校受験。二人同時にできるのか?とくに二卵性で性別も性格も知的レベルも全く違う二人。どうしたものか・・・?と考えました。
結論から言うと、わが家は「受験しない」を選びました。今回はその経緯と、それでも感じた小学校受験のメリット、デメリット、もし受験するとしたら―を、できるかざり公平にまとめてみようと思います。この記事が、同じように「すべきか、あきらめるか」で揺れている双子の保護者のみなさんの、ほんの少しでも気持ちが軽くなるヒントになったら嬉しいです。
これから書くのは「受験しないほうが正解だった」という主張ではなく、「わが家はこの選択をした」という一家の記録です。受験を選んだ方も、あきらめた方も、それぞれのご家庭のかたちは、それぞれの家族が決められるもの。肩の力をぬいて、ゆるく読んでいただけたらと思います。
私が「受験しない」を選んだ3つの理由
1) 「2人分の準備」が、想像以上に大きかった
まず最初に私たちの心を折ったのは、”2人分”のスケールの大きさでした。私立小学校の受験料は1校あたり2万〜3万円台が一般的といわれていますが、双子なら単純計算で2人分。国立附属(お茶の水女子・筑波・東京学芸など附属)は検定料が従来より1,100円+2,200円=3,300円程度が一般的といわれていますが、私立を併願するご家庭も多く、お試し含めて複数校を受けると、学費準備以前の出費だけで気持ちがしゅーとなりました。さらに塾の月謝、テキスト、模試、願書写真、当日の交通費、秋冬の面接衣装…。上の子の受験の時は、大手の小学校受験の塾に通っていましたが、月謝は5万円台、二人だと10万越え・・・。家庭それぞれで「ここまでなら」の線引きは違うと思いますが、わが家にとっては「もうその分は、子どもたちの未来に別の形で使いたいな」と感じたのが正直なところです。
そして、見えないコストもありまして。朝の支度、送迎、家での学習の時間など、ルーティンが倍になる感覚は、受験準備に入るとさらに加速する気がしました。パパの仕事との調整、私の仕事の調整も頭をよぎり、「2人分の準備を回す体力と気持ちが、いまのわが家にあるか?」と何度も話し合った末に、一度立ち止まる決断をしました。
2) 「子ども同士の比較」が、静かに増えていく
これは双子育児をしているご家庭に思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。年中の終わりから年長にかけて、塾の宿題や模試の結果を見ていて、ふと気づく―「○○ちゃんのペーパーは伸びてるな」「△△ちゃんはまだ苦手そうだな」と。これは親として”気づかないようにする”ほうが難しいくらい、自然に視界に入ってくるんです。
我が家の双子は、割とお勉強は得意な男の子と、お勉強とは無縁なマイペースな女の子。どうしたって差がつくのが目に見えていました。
「比べないであげたい」と頭ではわかっていても、2人分の教材を同じ机で開く以上、どこかで見比べてしまう。その積み重ねが子どもたちにとってどんな風に映るかは、家庭の空気次第で大いに変わります。わが家はこの「比較のひき金」を家庭の中に増やしたくなかった、というのが2つ目の理由です。
3) 「小学校が別々なのは負担が大きい」
これも調べているうちに、現実的に入学式、卒業式、運動会等の行事が重なる可能性も高いということがわかってきました。しかも私立となれば、電車移動の距離、予定が重なった時に両方行くことはおそらく無理。どちらにママが行くのかでケンカになるのも想像に難くありませんでした。学校によって準備するものも違うし、授業の進度も違う・・・
「わが家の無理のかたち」を可視化したかった、というのが正直な動機かもしれません。受験をしないという選択は、誰かにあきらめることを宣言するものではありません。わが家のリソースを、別のあしらいに使おうという、家族の話し合いの結論でした。
(※上記はあくまでわが家の事情からくる選択です。費用感・体力・家庭の優先順位は家庭ごとにまったく異なります。「受験しないほうがいい」とは思っていませんし、「すべき」とも思っていません。)
それでも感じる、小学校受験のメリット
わが家は受験を選ばなかったけれど、上の子の受験や、調べていて「いいな」と感じた部分はたくさんあります。受験を選ぶご家庭の判断材料になるよう、わが家のフィルターを通して知った範囲の一般論として、整理してみます。
- 特色ある環境で6年間を過ごせる可能性―私立・国立には、英語教育、ICT、宗教教育、独自の行事など公立にはない特色があるところが少なくありません。子どもの興味と家庭の価値観が合うなら、その環境で過ごす6年間はとても濃いものになるかもしれません。
- ご縁のある同級生との長い時間―小さい頃から6年間、ときに中学・高校まで通う場合、関係性が深まりやすいのも私立・国立附属の魅力といわれています。子育ての観点では、親同士のネットワークができるという点を大切にする方もいます。
- 中学入試を意識しないで済む場合がある―はじめから12年一貫の学校を選んだご家庭からは、「中学受験のフォローまで見てくれる安心感が大きい」という声を聞いたこともあります(学校の運営方針による差はあるようです)。
- 子どもの”がんばる・やりきる”経験になる―目標に向かって日々を過ごす経験は、結果がどうあれ、その後の学びに向かう姿勢につながるという話は、受験経験のあるご家庭から何度も聞きました。
- 面接や行動観察を通じた親子の対話が増える―家庭での「どう話す?」「どういう自分が好きな?」という会話が増えるという声は、わが家も少しうらやましいなと感じました。
知っておきたいデメリット(わが家視点も交えて)
選ぶ側にも選ばない側にも、判断材料として知ってほしい視点をまとめました。わが家の感覚も混ぜつつ、書いてみます。
- 経済的負担が大きい:私立の学費は公立と比べ年間ベースで差が大きいといわれています。入学金・制服代・通学費・施設費など含めると6年間で大きな差になり得るところがあります。家庭によっては「教育費を大学までに温存したい」「きょうだいが多い中でどう配分するか」などの壁になりやすいポイントです。
- 親のスケジュールとメンタルの負荷:2人分の面接・行動観察・模試の予定、親面接の対策、願書写真の撮り直し―すべてが文字通り2人分です。働く親にとって、仕事の調整と家事・育児の両立は見えにくい負荷として積み重なります。上の子がいるご家庭では「当日の役割分担」と「上の子へのケア」というレイヤーがさらに増えます。
- 子ども同士の差が可視化されやすい:塾や模試の場では、どうしても数字で差が見える場面があります。家庭でどう受け止めるかを、始める前に家族で話し合っておかないと、親子関係が安定しにくい面もあるかもしれません(これは家庭の受け止め方次第です)。
- 通学時間と距離:自宅から遠い学校を選ぶ場合、通学時間で体力を消耗しがちという声は、実際に通っている家庭から複数聞きました。学校選びでは立地と毎日の生活リズムのリアルを忘れずに確認したいところです。
- 入学後の世界が「合う子」もいれば「合わない子」もいる:メリットの裏返しですが、どんなに特色ある学校でも、すべての子に合うわけではありません。学校説明会や在校生家庭の声を聞いて、わが子に合うか確かめる工程はとても大事です。
もし受験すると決めたなら―わが家なりの進め方メモ
ここからは、もし受験を選ぶご家庭むけに、わが家が「やっておいてよかったかもしれない」と思い直した視点を、5つのチェックリストにしてみます。わが家は受験をしませんでしたが、検討していた時期のメモを温めて書いています。
✅ わが家の”軸”を、家族で言葉にする
「何のために受験をするのか」「どんな子ども時代を送ってほしいのか」を、家族で3〜5個に絞って言葉にしておくと、説明会や志望校選びでブレにくくなります。
✅ 費用・体力・時間の”見える化”をする
受験料2人分、塾代2人分、願書写真2人分のリアルな金額表を作る、ご家庭のカレンダーに2人分の予定を書き込む、上の子・ご家族の予定も重ねてみる―無理がないか可視化するだけで、判断の精度が上がります。
✅ 比較よりも、”それぞれの伸び”を受け止める合言葉を決める
「比べない」を合言葉にする、できたことを一人ずつ言葉にしてあげる、第三者の前で差を言わない、など。家庭の中での言葉のルールを先に決めておくと、準備期〜本番までの空気が保たれやすくなります。
✅ 当日の役割分担を、リアルな時系列でシミュレーションする
「当日の朝、○時に家を出る→○時にA校→○時にB校→…」と紙に書いてみる。上の子・ご家族の担当を”いつもの人”にお願いできるか確認する。上のお子さまには「きょうは○ちゃんの学校に行く日だよ」とことばで予告する―ここまでやっておくと、当日のバタバタがだいぶ減ります。
✅ 学校の”最新公式情報”を必ず確認する
学校・年度により対応は異なります。検定料・併願方式・双子の合否の扱い・面接形式などは、公式の募集要項や個別説明会で最新を確認するのがいちばん確実です。「ブログに書いてあったから」ではなく、一次情報をとってくださいね。
(※わが家は受験を選ばなかったので、上記は他のご家庭の経験談や調べた範囲の一般論をまとめたものです。実際に進める際は、ご家庭の状況や信頼できる塾・学校の先生とぜひ話し合ってください。)
おわりに―受験しない選択でも、大丈夫。
ここまで書いてきて、私たちが伝えたかったのはたったひとつです。
小学校受験をするか、あきらめるかは、「正解を当てる問題」ではありません。「この子がこの家でどう育ってほしいか」という、家族ごとのかたちの問題です。
双子 小学校受験はたしかに、2人分だからこその大変さが乗ってきます。そのぶん、「わが家のペースで、わが家のかたちで」というシンプルな判断基準が、強い味方になってくれる気がします。
わが家は「受験しない」を選びました。それは、子どもへの関心が薄いからでも、誰かにあきらめることを宣言したからでもなく、わが家のリソースを、いま目の前にいる子どもたちとの時間に使いたいと思ったから。あなたが受験を選ぶなら、それはあなたのかたちの正解。選ばないなら、それもあなたのかたちの正解。
肩の力をぬいて大丈夫です。わが家の双子の受験、そしてこれから始まる小学校生活を、焦らず、比べず、家族のペースで歩いていく―そのくらいのゆるさで、今日を過ごしていきましょう🌱
※本記事は2026年8月時点までの公開情報をもとに作成しています。費用・対応・検定料等は年度や学校により異なるため、必ず最新の公式情報でご確認ください。

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